哲学者・三木清の綴る人生論ノート。これは間違いなく名著だった。本書は、「死について」、「虚栄について」、「感傷について」など、人間・人生の周辺にある23の要素について、「~について」という題でそれぞれ論じていく。どんな順序で読んでもいいし、後で一つだけ読み返してもいい。まずこの形式が独特でかつ洗練されていて、座右の書に含めざるをえない。
「幸福について考えることはすでに一つの、恐らく最大の、不幸の兆しであるといわれるかも知れない。しかしながら今日の人間は果して幸福であるために幸福について考えないのであろうか。むしろ我々の時代は人々に幸福について考える気力をさえ失わせてしまったほど不幸なのではあるまいか。幸福を語ることがすでに何か不道徳なことであるかのように感じられるほど今の世の中は不幸に充ちているのではあるまいか。」
(「幸福について」より)
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